この落語家を聴いた!(2012年)

二年ぶりとなりましたが、「落語」まとめ日記を。

1月28日「よってたかって新春らくご」@よみうりホール
【昼の部】
 「元犬」柳亭一也
 「宗論」三遊亭兼好
 「マキシム・ド・のん兵衛」三遊亭白鳥
 「夢金」柳家三三
 「二番煎じ」柳亭市馬

【夜の部】
 「たらちね」柳家緑太
 「短命」春風亭一之輔
 「井戸の茶碗桃月庵白酒
 「疝気の虫」春風亭百栄
 「按摩の炬燵柳家喬太郎

2月28日「百栄の落語100+」@横浜にぎわい座 のげシャーレ
 「金明竹」林家扇
 「露出さん」春風亭百栄
 「駒長」蜃気楼龍玉
 「大工調べ」春風亭百栄

4月20日柳家三三独演会」@鎌倉芸術館小ホール
 「かぼちゃや」三遊亭きつつき
 「締め込み」柳家三三
 「猫定」柳家三三

6月20日「梅雨、Wホワイト落語会6」@北沢タウンホール
 「粗忽長屋桃月庵白酒
 「ある愛の詩三遊亭白鳥
 「禁酒番屋三遊亭白鳥
 「笠碁」桃月庵白酒

7月25日「わたし、ラジオの味方です4」@紀伊國屋サザンシアター
 「反対俥」柳家喬太郎
 「鈴ヶ森」春風亭一之輔
 「あくび指南」春風亭一之輔
 「道灌」柳家喬太郎

7月26日「この落語家を聴け!春風亭一之輔」@北沢タウンホール
 「権助魚」春風亭朝呂久
 「蛇含草」春風亭一之輔
 「青菜」春風亭一之輔

8月13日「柳家小三治独演会」@よみうりホール
 「ちりとてちん柳家〆治
 「湯屋番」柳家小三治
 「粗忽長屋柳家小三治

8月17日「吉例夏夜噺」@鈴本演芸場
 「夕立勘五郎」桃月庵白酒
 「蝦蟇の油」柳亭市馬
 「四段目」隅田川馬石
 「初音の鼓」柳家喬太郎
 「青菜」柳家権太楼
 「鴻池の犬」柳家さん喬

9月29日「よってたかって秋らくご」@よみうりホール
【昼の部】
 「一目上り」柳亭一也
 「だくだく」三遊亭兼好
 「中華屋開店」柳家喬太郎
 「五目講釈」柳家三三
 「猫忠」柳亭市馬

【夜の部】
 「やかん」柳亭緑太
 「雛鍔春風亭一之輔
 「最後の寿限無春風亭百栄
 「安兵衛狐」桃月庵白酒
 「鉄砲のお熊」三遊亭白鳥

11月21日「人情噺対決」@牛込箪笥区民ホール
 「道灌」柳家さん坊
 「替り目」古今亭菊之丞
 「鼠穴」柳家三三
 「高砂や」柳家三三
 「たちきり」古今亭菊之丞

12月4日「滑稽噺対決」@北沢タウンホール
 「やかん」柳家けい木
 「睨み返し」柳家喜多八
 「宿屋の富」桃月庵白酒
 「紙入れ」桃月庵白酒
 「火事息子」柳家喜多八

12月13日「落語研究会番外編 柳家小三治一門会」@赤沢BLIZ
 「鷺とり」柳家こみち
 「高砂や」柳家三三
 「死神」柳家小三治


以上。思ったよりも、けっこう聴いたなあ。ぼくの小遣いにしては上出来でしょう(笑
せっかくなので、印象に残った高座を三席ほど。

■「鈴ヶ森」春風亭一之輔
 2012年はおそらく、春風亭一之輔師匠の年として記憶されることになるのでしょう。21人抜きという異例の抜擢でありながら、高座では飄々と自分らしさを貫いているように見えました。喬太郎師匠との二人会で飛び出した「鈴ヶ森」は、オーソドックスな古典と思って聴いていたら、突然、泥棒二人の怪しげな関係を仄めかせるやりとりが飛び出してきて・・・という笑撃の一席。こういう飛び道具が自然と出てくるというのは、喬太郎師匠も言ってましたが、きっと乗りに乗っている証拠なんでしょうね。秋に聴いた「雛鍔」も「クソガキ」の描写が最高でした。まさに子育て奮闘中の父親でもある師匠の、日頃の苦労と愛情が滲み出るような一席になっていて共感しきり。

■「最後の寿限無春風亭百栄
 とにかくアバンギャルドな新作の多い百栄師匠ですが、この「最後の寿限無」は極めつけじゃないでしょうか。落語版モキュメンタリーとでも呼びたくなるような怪作です。昨年聴いた「ロシアン・ブルー」も「いま、この場」を相対化するようなメタな噺でしたけど、「最後の寿限無」はさらに一歩も二歩もそっちに踏み込んだ作品で、腹を抱えて笑いながらも落語の前衛性をヒシヒシと感じました。落語界でも有名な名人・文楽の「あの最後の高座」を始点にしつつ、最後は落語の極北にいたるという超ロングスパンを秘めた問題作。この一席だけはCDやDVDではなく、生で聴けて良かった!

春風亭百栄の落語 人間国宝への道・第一章

春風亭百栄の落語 人間国宝への道・第一章

■「宿屋の富」桃月庵白酒
 昨年会社の忘年会にあがってくださった白酒師匠。あの丸っこくて愛らしい(失礼!)風貌と、そこから飛び出す毒舌のギャップがたまらないですね。何を聴いても笑わせてくれる師匠ですが、ぼくが特にお気に入りなのが「気弱で女房の尻に敷かれた宿屋の主人」が登場する噺。たとえば「抜け雀」、「井戸の茶碗」、そしてこの「宿屋の富」。身勝手な客と勝気な女房のあいだで右往左往する主人の「ぼやき」が何ともおかしい。一之輔師匠の「雛鍔」じゃないですけど、ついつい日ごろの自分の姿と重なってしまったりして。白酒師匠では、もう一席、夏の鈴本で聴いた「夕立勘五郎」も最高だったなあ。来年も、大いに笑わせていただきたいと思います。


さてさて、「ホラーリーグ」に続いて「落語」までまとめることができました。あとは、ブログ上では「今年の三冊」を残すのみ!
しかしながら、現実世界では仕事も年賀状も餅つきも残っており・・・ 果たして「今年の三冊」までたどりつけるのか、若干の不安あり。がんばります〜